残念系お嬢様の日常
「うわははは!」
スミレが指差して笑いだすと桐生の視線がスミレの方へと移る。
「……なにしてんだお前ら」
「ひい!」
笑わせるどころか怒らせてしまった。ど、どうしましょう。
「た、たっくん! 誕生日おめでとう!」
不穏な空気を変えたのは流音様のお祝いの言葉だった。
彼女がここにいることに驚いたのか、桐生の目が大きく見開かれる。
「なんで流音が……」
「ほら、中入ってー。今日の主役は拓人だよ」
困惑している桐生の背中を雨宮が押して、強引に中に入れる。
黒子の景人と瞳が布を下ろして、手作りのお菓子の家を桐生に見せる。
「た、誕生日、プレゼント!」
「……俺に?」