残念系お嬢様の日常



「たっくん、笑っていいんだ……っ、もう無理して気を張らなくていいから、誰も責めたりしない、から……っ」


うさぎのパペットではなく流音様自身の口で拙いながらに必死に想いを言葉にしながら伝えている。



「だから……っ笑ってたっくん」


少し泣きそうになりながらも流音様は桐生に笑いかける。

彼女の精一杯の感情を桐生はどんな風に受け取ったのかはわからない。



「笑えなんて言われたの初めてだよ。本当、相変わらずだな」

けれど、いつもよりも柔らかい声だった。


桐生は笑わなかったけれど、仏頂面ではない。

そのことが嬉しくなったのか目を輝かせた流音様が桐生の腕を引いて、お菓子の家の目の前まで連れて行った。




「こ、ここのドアを、開けて! 中見て!」


流音様に言われた通り、桐生がお菓子の家のドアを開けると————家が崩壊した。





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