残念系お嬢様の日常
ん? スミレの様子がおかしい。
マジパンの腕をフォークの上に乗せて、目の前にいる桐生をチラ見している。
そして、ちょこっとかじって再び桐生を見る。
「……痛くないのね」
「何言ってんだ、お前」
桐生が訝しげにスミレを見ていると、スミレはマジパンの腕を口の中に入れて容赦なく噛み砕いた。
ああ、もしかしたら流音様が作ったから呪い的な何かがあるのかもと疑っていたのかもしれない。ちょっと気持ちはわかるけど。
「おや、菫の君。もしも、呪いのマジパンが作りたければ教えてやるぞ」
流音様が物騒なことを言って笑っている!
どうやら呪いのことには饒舌らしくパペットなしで喋っていた。
「スミレ、お願いだから教わらないでね」
「……え、えへへ大丈夫よ。瞳」
「今悩んでいたでしょ」
たぶんお兄さんたちを呪うか一瞬考えたんだね。
流音様の呪いって本当に効いちゃいそうだからやめてあげてね。