残念系お嬢様の日常
「裏で色々頑張ってくれたのが雲類鷲だって聞いた」
みんなの力を借りたし、私はそんなに頑張ってないけどな。
「流音とも景人とも久しぶりに話した。心配かけてたなんて全く気づかなかった」
「桐生様は案外不器用なのですね」
「……まあ、景人よりは器用じゃないだろうな」
私から見たら景人も不器用な気がするけどな。
弟のことが大事なくせにあんな回りくどいやり方で笑顔にさせようとして。
あの場でも素直に誕生日おめでとうって姿を現せばよかったのにとは未だに思うよ。
「俺さ、小さい頃景人に桐生の家からのプレッシャーを全て背負わせてたんだ。景人が引きこもるまで、あんなに追い詰められていたことにも気づけなくて、母に笑うなって言われたときも今度は自分が桐生のプレッシャーを背負うことになったのも、全て今まで他人事のようにしてきた自分への罰だって思った」
桐生の表情は当時のことを思い出しているのか、少し辛そうで弱々しい声音だった。
いつも強気の彼らしくないけれど、普段は気を張っていただけなのかもしれない。