残念系お嬢様の日常
「褒めてる。お前も水谷川も、おかしなことばっかして真栄城は大変だよな」
え、ちょっと待って。
私と瞳がスミレの暴走を止めている感じでしょ?
桐生はかなり誤解をしている。いつもおかしな言動をしているのはスミレだけだ。
「とにかく雲類鷲のおかげで俺も前よりは少し背負ってるものが軽くなった気がする。ありがとな」
「……お礼は流音様と景人様にお伝えください。私は借りを返しただけですわ」
「借り? そんなのあったか」
桐生はあれを借りだと思っていないのだろうか。
全身びしょ濡れになって散々だったはずなのに。
「プールで助けてくださったので。あのときは本当にありがとうございました」
「あれは借りじゃないだろ。見捨てる方がどうかしてる」