残念系お嬢様の日常
「もっと酷いことにならないうちに止めたいのです。協力してくださいませんか?」
「……ぼ、僕に断る権利なんてないんだろう」
「ありがとうございます」
別に脅したかったわけじゃないんだけどな。本当にこれはお願いだからね。
私じゃ海老原妹に近づくの難しそうだし、希乃愛にお願いして中等部でなにかあっても高等部の私はすぐに助けられないかもしれないし。
だったら兄である彼にこっそり探りをいれてもらいたいなって思っただけだ。
別に海老原くんが日焼けしていて、へぇ夏楽しんだんだねぇ。どっか行ったんだ? ……へぇ。
なんて思ったからちょっとトゲのある話し方をしたわけじゃない。断じて違う。
海老原くんと連絡先を交換すると彼は何故か慌てた様子で図書室を出て行ってしまった。
トイレでも行きたかったのかしら。
ふう。これでひとまず今日の目的は達成できた。
「雲類鷲さん……」