残念系お嬢様の日常



振り返ると本棚の影から男子生徒の格好をした彼女が姿を現した。


会うのは桐生の誕生日会以来だ。


「ごきげんよう。浅海くん」

「ごめんなさい。あまりにすごい会話で出て行く機会逃しちゃって……」

あらら、つまりは浅海さんは全部聞いてしまったってことね。

うわぁ……顎クイの色仕掛け見られていたとかめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど。



「犯人を捜しているってことですよね」

「ええまあ……そうね」

「自分にもなにか手伝えることがあれば言ってください」

「……ええ」

浅海さんもプールの件を気にしているのだろう。

一応浅海さんが気に入らなくて呼び出されたってことになっているしね。

けど、浅海さんにだってなにか裏があることはわかっているはずだ。


雨宮の話だと、彼女も中等部の女の子たちが私をわざと突き落としたように見えたらしいし。




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