残念系お嬢様の日常
「雲類鷲さん!」
「は、はい」
「いつも一人でなにかを考えているように見えます」
「そ、そうかしら?」
私は完璧なポーカーフェイスを決めているつもりだったのだけど、そうは見えなかったのかな。
「助けられてばかりなので雲類鷲さんに少しくらい頼ってもらいたいです」
こんなことを言ってくれるのは意外で目をまん丸くしながら、きょとんとしていると浅海さんが「そうだ」と声を上げた。
「雲類鷲さんにちょうど連絡しようと思っていたんです」
「私に?」
「はい。日頃の感謝を込めて、お誘いを」
誘いってなんだろう。
夏の予定が味気ないので、ちょっとワクワクしてしまう。
「三十日の夜の時間を、僕にくれませんか」
私の手をとって柔和な笑みを浮かべた浅海さんの表情や仕草は最高にイケメンだった。