残念系お嬢様の日常
通常門を開けるにはセキュリティーの解除が必要で、普段は運転手さん達が解除をしてくれるけれど、内側から開ける場合はなにもしなくて大丈夫だったよね?
いつもここら辺は車で通過していたからよく覚えていない。
これも日頃の怠惰の報いだ。ちゃんと見ておけばよかった。
おそるおそる門扉に手をかけると想像以上に重たくて驚いた。
歯を食いしばり、必死に後ろへ引いて、人が通れるくらいの隙間を確保する。
ヨーロピアン風なお洒落な門扉のデザインになっていて、一見重たくなさそうなのに案外力が必要らしい。
……あれ、そういえばいつも運転手さんってなにかスイッチみたいのを持っていて打ち込んでいた気がする。
こっそりと門扉から抜けたところで、あることに気がついた。
瞳達と連絡を取り合うために必須な携帯電話を忘れてしまったのだ。
大馬鹿者な自分に嫌気がさしながら、再び家に取りに戻らなければならなかった。
仕方なく開いたままだった門扉の隙間から家に戻ると突然警報が鳴り出した。
激しく打ち鳴らすような音に焦って、あたりを見回す。
「ま、まさか泥棒!?」