残念系お嬢様の日常
これは紛れもなく侵入者を報せる音だ。
大事な日に限って事件が起きてしまうなんて災難だわ。
この雲類鷲家に泥棒に入るだなんていい度胸している。
ああでも、ものすごく凶悪なやつでここでバッドエンドを迎えてしまったらどうしよう。
それにお母様とお父様、蒼や使用人たちが危険な目に遭うのはいやだ。周りの誰かが危険に晒されるくらいなら、私がどうにかしないと。
きょろきょろとあたりを見回していると、家の中から使用人たちがこちらへ向かって走ってくる。
その中には蒼も紛れており、抜け出そうとした後ろめたさから隠れてしまいたいけれど明らかに私のことを見ていて逃げられそうにない。きっと姉を心配して走ってきているに違いない。
「姉さん!」
「蒼、大変よ!」
侵入者のことを蒼に伝えようと、駆け寄ると何故か両手首を掴まれた。
「うん、大変だね」
「……蒼?」
「現行犯、逮捕」
「へ?」