残念系お嬢様の日常
「ただし、保護者として蒼を連れて行きなさい」
「え、俺は……」
「はい!お母様!」
まさかこんな展開が待っていたなんて!
家を抜け出そうとしたのも失敗してよかったかもしれない。
英語を教わるときに蒼が『ちゃんとできたら、俺が姉さんのお願い叶えてあげるから』って言ってくれた通り、私の望みを叶えられるようにしてくれた。今度お礼しないとね。
「俺も行かないといけないの?」
「行くわよ! 蒼!」
「……はあもうなんでこんなことに」
用意した浴衣が無駄にならなくてよかった。こうしちゃいられない!
約束の時間に少し遅れてしまいそうだけど、行けるって連絡しないと。
はやる気持ちを抑えきれずに駆け出すと、「落ち着かないと行かせないわよ!」とお母様の怒声が聞こえてきて、慌てて速度を落とした。
すみません大人しくします。