残念系お嬢様の日常
ん? 天花寺の言うお姉さんって私のこと?
蒼は横目で私を確認したあと、「どうぞ」と頷いて一人で児童館の中へと入って行ってしまった。ちょっと待って。
どうして私が天花寺と二人っきりになるんだ。
勝手にレンタルされても困るんですけど。
「この辺少し歩かない?」
「え……はあ」
よくわからないまま街灯に照らされている道を二人並んで歩いていく。
こちらを向いて、頬を赤らめながら天花寺が微笑んだ。
「浴衣似合ってるよ」
「えっ」
「……可愛い」
照れながら言われるとこっちまで照れが伝染してくる。
とりあえずお礼を言っておくけれど、こういうところがモテる秘訣なんだろうか。
私も見習うべきなのかな。恥じらいながら素敵ねって言えば、男子はイチコロかな。
あ、その前にほとんどの人が事務的内容以外に声をかけてくれないんだった。問題はそこからだったわ。