残念系お嬢様の日常
「ええっと、水谷川スミレ様と真栄城瞳様と放課後にお喋りをしているのよ」
「ああ、花ノ姫の人だっけ」
「ええ」
蒼は校舎が違うし、あまり女子生徒のことは知らないだろうけど、さすがに『花ノ姫』のメンバーの名前は知っているらしい。まあ、二人とも目立つもんなぁ。
「蒼、その手に持っているものは?」
「え? ……ああ、これ」
手に持っている白い封筒を指さすと、少し気だるげに蒼が私に差し出してきた。不思議に思いながら、受け取った封筒を開けてみるとそこには五人の男子生徒が写っていた。
「これって……」
「この間の剣道の大会のやつ。上位五人で集合写真撮られたんだけど、それを貰ったんだ。いらないのに」
そういえばこの間、授業で中等部男子の剣道大会が行われたって蒼が言っていたっけ。写っている顔ぶれに既視感を覚えて顔が引きつる。
「全員二年だよ。しかも、去年と同じ顔ぶれ」
「二年は優秀なのね」
「……そうかもね。あ、久世もいるよ」
その名前にどきりと心臓が大きく跳ねた。