残念系お嬢様の日常
それに金色のチェーンに通されている金色の薔薇のチャームは高そうだ。
しかも、薔薇の中心には黄緑色の石が埋め込まれていて、おそらくこれは八月の誕生石のペリドット。こんなに高価なものをもらっていいのだろうか。
「真莉亜」
「っちょ」
「二人っきりの時くらい呼んじゃダメ?」
不意打ちで名前を呼ばれて、咄嗟に顔を逸らす。絶対今顔赤い。
自分でもわかるくらい顔が火照っている。どうせ雨宮は余裕そうな微笑みで私のことを見下ろしているんだろう。
「か、からかうのやめてよ!」
「あはは、顔真っ赤だよー。可愛いねー。浴衣もすっごく似合ってるよー。いつもに増して可愛い」
「うるさいっ! わざと褒めてるでしょう!」
楽しげに笑う雨宮にやっぱりからかわれただけなのだとわかって、睨みつけると何故か雨宮は真剣な表情で私を見つめている。