残念系お嬢様の日常
桐生の好みは知らないけども。これはつまり褒めてもらえたってことでよろしいのでしょうか。
ちょっと……いや、かなり調子が狂わされっぱなし。
今日の三人組はみんなで打合せでもしてきたのかってくらい、砂糖みたいな言葉やら態度を吐いている気がしてむず痒くなってくる。
一体何が起こったっていうんだ。
「なに口説かれてるの、姉さん」
「え、蒼?」
嫌そうに顔を歪めて私と桐生の間に割り込んできた蒼が、鋭い眼差しで桐生を睨んだ。
「桐生に誑かされないように」
「誑かしてねぇよ」
「口説いてたでしょ。無自覚ならなおさら危険だね、気をつけてよ。姉さん」
「口説いてねぇしシスコンかよ」
桐生もブラコンじゃないの?
なんて言葉を挟める空気ではなく、バチバチと火花を散らす二人に戸惑っていると後ろから袖口を軽く引っ張られた。