残念系お嬢様の日常


「紅薔薇の君」

「流音様?」

なにやら私と話したいことがある様子の流音様に手招きされて、少しだけみんなと離れた場所で彼女と向かい合う。

いつも通り片方の手には流音様の大事なうさぎのパペットがはめられていて、もう片方の手には携帯電話が握られている。



「来れないけど、お祝いはしたいと言っていたのだ」

「へ?」

「だから、これを使ってくれ!」

「え、ちょ……流音様!?」

強引に握らされた流音様の携帯電話。

画面を確認すると通話中になっていて、相手の名前を確認してからゆっくりと耳に当てた。



「……もしもし」

『よう。久々、ってほどでもないか』


電話越しの景人の声はいつもよりも少しだけ低くてかすれ気味に聞こえる。





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