残念系お嬢様の日常


まあ、ここは原作通り天花寺のことが好きな二人ってことね。

変わったのはこの二人の間に私がいないことくらいか。

残念ながらあなたたちが嫉妬で浅海さんに何かしても、この天花寺に成敗されちゃうんだよ。



「真莉亜様」


雅様は去り際に私の耳元でいつも通りの優しくて落ち着いた声音で囁くように言った。



「花ノ姫としての自覚をお忘れなく」

天花寺には聞こえていないようで、きょとんとしている。

女の醜い言葉の棘なんて聞こえない方がいいだろう。



それにしても、花ノ姫としての自覚、ね。

雅様の後ろ姿を眺めながら、心の中で毒づく。


綺麗な笑顔の裏側に毒を隠した鈴蘭の君は、その自覚とやらを本当にお持ちなのかしらね。





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