残念系お嬢様の日常



「一木先生って俺らはあまり授業で関わることないよね」

「ええ。確か、二年の数学を担当されていますよね」

「それでも名前知っているんだね。すごいな」

この人は自分がどれだけ有名なのか自覚はないらしい。

貴方のことはこの学院の生徒や教師ならみんな知っていると思うけど。それくらい超々有名人ですよ、貴方。


それと私の名前を知っていたのは伯父が理事長だからだろう。


廊下でなにやら注目を集めている人物がいて立ち止まる。

女子生徒にしては高身長ですらりと伸びた手足に、短めの黒髪。

彼女はこの学院に在籍している女子生徒の中で最も同性からの人気を集めている。


けれど、最近では男子生徒からの注目も集めつつあるようだ。


……色気、増したもんなぁ。この夏なにがあったんだ。


はっ! まさか、アバンチュール!?


私なんてノーアバンチュールな勉強漬けの夏だったというのに! ちくしょう!






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