残念系お嬢様の日常


後ろから甲高い声で「きゃー!なになになんですのあれ」と女子達が騒ぎ出しているのが聞こえたけれど、恐ろしくて振り返れない。


嫉妬されているのか、それとも妄想をされているのか……どちらでも怖い。



空き教室に適当に入り、瞳と向かい合う。表情からして嬉しい出来事ではなさそうだ。


「それで、どうしたの?」

「最近スミレの様子がおかしいんだ」


瞳の悩み事といったらかなりの確率でスミレのことだろうと思ったけれど、予想は当たったようだった。



「スミレの様子がおかしいってどうおかしいの?」

なんとなく私にも心当たりはあったけれど、誕生日のお祝いをしてもらった日になにか隠しているなと思ったくらいで具体的にはなにもわからなかった。

私が気づくくらいなら瞳も気づいて当然か。



「……お菓子を全然食べない」

「え?」





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