残念系お嬢様の日常


「……怯えている?」

「うん。あたりを見回していることが度々あって、明らかになにかを探しているみたいで……」


怯えている、か。

私も屋上でスミレが携帯電話を確認したとき、怯えているように見えた。

まさか誰かに脅されているとか?


いや、でもスミレに脅されるような弱みってあるの?



「お兄様たちとなにかあったとかではないの?」

「多分違うと思う。あの人たちがスミレに何かしているなら、わかりやすいから」


お兄さんたちが原因じゃないとするとスミレになにが起こっているんだろう。

……ちょっと待って。時期は早いけど、これってもしかして原作であったスミレ回なんじゃないの!?



「ねえ、瞳。スミレって最近よく携帯電話を見ていることないかしら」

「え? うーん……そう言われてみればある、かもしれない」


もしも原作通りのことが起こっているのなら、おそらくスミレの身に危険が迫っている。

問題なのはスミレが瞳にすら相談をしていないことだ。

迷惑をかけたくないからといった理由なんだろうけど。





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