残念系お嬢様の日常


だんだんとそれはエスカレートしていき、画像が届くようになった。

それはスミレの盗撮写真だった。

学院内で撮られているものがほとんどで、夏休みになりしばらくは来ないだろうと安心しているとメッセージは止むことなく、画像もときどき届いたそうだった。


「どうしてすぐに話してくれなかったの」

「……瞳と真莉亜に迷惑かけたくなくて」

「迷惑なんて思うはずないでしょ。なにかあってからじゃ遅いんだよ。相談してよ」

「ご、ごめんなさい」

いつもは温厚な瞳に叱られて、スミレはしょんぼりとしている。

瞳の言う通り、なにかあったからじゃ遅い。

この犯人は————もっとスミレに近づこうとしてくるのだから。


タイミングは早いけれど原作通りの事件だった。原作ではストーカー野郎をどうやって暴いたんだっけな。証拠がないととっちめることもできやしない。


「スミレがここの部屋に来た理由は?」

疑問に思っていたことを聞いてみると、瞳のお叱りによってHPがかなり削られているスミレの代わりに景人が答えてくれた。





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