残念系お嬢様の日常
『異国の血』
『作り物みたいで気持ち悪い』
そうやって言ってくる男の子が何人もいた。け
ど、小さい頃はお友達が欲しくて嫌なことを言われても『そんなことないよ。ちゃんと笑うし、作り物なんかじゃないよ』って笑顔で耐えていた。
だけど、ある男の子が言ったんだ。
『お前って母親殺して生まれてきたんだろ』
その言葉は心をえぐり、真っ黒な感情がせり上がってきた。
自分自身が一番よくわかっていた。お母様がいないのは、スミレを産んだからだということ。
親戚の人がまるで生き写しのようで、お父様や兄たちは辛いのではないかと言っていたのを聞いたこともあった。
でも、お父様も兄たちもみんな笑顔でスミレを守ろうとしてくれるから、悲しいとか辛いとかそんな感情を抱いたり、俯くことはやめようって思っていた。
〝スミレは俺たちの自慢の妹だ〟
変な発言ばかりだし、写真撮ってくるし、面倒なこともたくさんあるけど、兄たちは嘘偽りのない言葉をくれる。