残念系お嬢様の日常
『おい、人形』
こんなやつら大嫌い。だけど、弱くて力のない自分のことも大嫌いだ。
震える手も、涙で滲む視界も、喉元につっかえている言葉も、すべて自分自身の弱さの証。
いい返さなきゃ。
でも、わかってもらうにはどうしたらいい?
どうしたらやめてくれるの?
わからない。どうすれば、誰も傷つけずにこの場を乗り切れるのか答えが見つからない。
なにもできないスミレは、彼らの言う通り、空っぽな人形なのかな。
見た目だけ着飾って、中身がなくて、強い意志もない。
『つまんないのはアンタだ』
どこからか凛とした声が聞こえてきて、弾かれたように顔を上げる。
今まで彼に反発する人なんていなかったはずなのに、一体誰?