残念系お嬢様の日常


『と……友達になってくれる?』
 

面食らったように彼女はまばたきを繰り返すと、小さく声を漏らして『もちろん』と言って笑ってくれた。


『真栄城瞳です。よろしくね』

差し出された手に自分の手を重ねて、握手を交わした。

幼少期のことがきっかけで男の子は苦手になったけれど、瞳という友達ができたことは自分の中で大事な出来事だった。


今は落ち着いている瞳だけど、小さい頃は結構気が強くてスミレをいじめてくる男の子たちを片っ端から撃退してくれてた。

だから、兄たちからの信頼も厚くなって、みんな瞳のことを妹みたいに今でも可愛がっている。


あの頃よりも少しは強くなれていると思っていたけれど、瞳や真莉亜に心配かけてしまっていたことに気付けなかった。強くなりたい。

いつか瞳がスミレを救ってくれたときみたいに、大切な人を守れる人になりたい。







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