残念系お嬢様の日常
瞳と真莉亜たちにいつもべったりで、友人は少ない。
花ノ姫として女の子たちに慕われていても、どこか距離があって友人とまではいかない。寂しいやつとでも思われているのだろう。
流音様や桐生景人、浅海くん、あの三人組とも交流があることはおそらく彼女たちには知られない方がいい気がするわ。
だってこの二人って浅海くんのことあまりよく思っていないみたいだもの。
お茶会のとき恐ろしかったわ。
どうしていつもピリピリしているのかしら。カルシウム不足?
今度花会のときにカルシウムたっぷりのモォモォクッキー混ぜておこうかしら。
「スミレ様、顔色が悪いわ」
伸びてくる雅様の腕に肩が跳ねる。
び、びっくりした! 一体、なにをされるのかと思ったわ。
「あら、驚かせてしまったかしら」
少し伸びた爪先が頬を撫でるように滑り、ぐっと力を込められて僅かに痛みを感じて顔を顰めた。
……爪、痛いし長いし怖いし、やめてほしい。
これ何されているんだろう。
爪先に毒でも塗られてたら、確実に殺されているわ。
ひぃいい。