残念系お嬢様の日常
「ねえ、スミレ様。お兄様たちにとても可愛がられていらっしゃるのよね」
「……兄たちが過剰なだけです」
何故うちの兄たちの話を知っているのかしら。怖い。
まあ、目立つから知っている人は知っているでしょうけど、あまり一緒にパーティーとかに出席していないのに。
兄の誰かを気に入ってしまっていたら、どうしよう。雅様が義理の姉とか恐ろしすぎる。
駄菓子とか見つかったら全て破棄されそうだもの。
……たとえ、お兄様の誰かが雅様を気に入っても、妹は断固拒否するわ!
兄よ〜結婚相手は駄菓子を受け入れてくれる女性を選んでおくれ〜!
「でも、お母様の件は気の毒よね」
「……なにが言いたいのですか」
自然と雅様を睨みつけてしまった。
まるで弱みを知っているとでも言いたげで試すような眼差し。
優しげな笑顔の裏側にはこういった毒を含んでいる。
彼女に鈴蘭の花名を与えたのは正解だわ。
美しい鈴蘭には毒がある。まさに彼女にぴったり。
「水谷川さん、姉さんが捜していたよ」
聞こえてきた第三者の声に振り向く。
どうやら声をかけてきたのは真莉亜の弟のようだった。
「え、あ、ありがとう」
「向こうで待っているから行こう。…………それと、人の家の問題に無遠慮に首をつっこむのはどうかと思う」