残念系お嬢様の日常
誰かに見られて、盗撮されているかと思うと恐怖に精神を削られていった。
送られてくるたびに、怯えていた気持ちなんてこの人にわかるはずない。
自分の欲のためにこんなことをしたなんて、被害者としても女としても許すことはできない。
教師としても人としても最低だ。
一木先生は項垂れると、その場にへたり込んでしまった。これで先生がわかってくれたのかは微妙なところだ。
真莉亜は「後は任せて」と言って、カウンセリングルームから出るように促してきた。
「で、でも真莉亜は?」
「私は大丈夫。外に瞳たちが待機しているから、合流して。少しだけ話をしたら、私もすぐに出るわ」
こんな人と二人っきりになるなんて危険じゃないかと外に出ることを躊躇ったけれど、真莉亜は有無を言わせずスミレを外へと追い出した。
彼女には彼女なりの考えがあるのかもしれない。
だから、せめて何かあったら叫んでというと、借りていた薔薇のブローチを真莉亜が手に取り「これがあれば大丈夫よ」といつも通りの笑顔を見せた。