残念系お嬢様の日常
***



「真莉亜!」

「わっ!?」

カウンセリングルームから出るとスミレが体当たりする勢いで駆け寄ってきた。

「危ないって、スミレ」

ふらついた私の腕を瞳が掴んでくれたので転ばずに済み、ほっと胸を撫で下ろす。


潤んだ目で私を見上げてくるスミレは相当心配していたことがうかがえる。

まあ、友達を盗撮魔と二人っきりにするのは怖いわよね。

どうやら景人と流音様も私のことを待っていてくれたみたいだ。


「大丈夫? なにもされてない?」

「ええ。平気よ。今後のことに関しての話をしていただけだから」

どちらかといえば、したのは私ね。

相当追い込んで名前を吐かせたから、精神力めちゃくちゃ削られたんじゃないかしら。

それに職を失った彼は途方に暮れているでしょうね。私も結構疲れたわ。

でもまだやることがあるから、気をしっかり張っておかないと。


「今後のこと?」





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