残念系お嬢様の日常
一木先生と鉢合わせしないように私たちはカウンセリングルームから離れる。
今日はカシフレの活動は休み。こんな日にする気分にならないわよね。
けれど、明日からはきっといつも通りのはず。
瞳とスミレの後ろを歩いていると、景人と流音様に左右を挟まれた。
な、何事!? ちょっと怖いんですが!
「一木になにかしただろ」
「紅薔薇なら、一木を睨み一つで倒せそうだがな」
「あらやだ、私なにもしていませんよ。ただ〝お話〟をしていただけですわ」
話をしただけなのは本当だもの。それに睨んだってあの男は倒せないわよ。
私をどんだけ恐ろしいやつって思っているのかしら。
自分なりに可愛らしさをイメージして微笑んでみると、景人と流音様の顔がわずかに歪む。
あら?
なにか間違えたかしら。ここはか弱く「本当は怖かったのよ」って言っておくべき? 実際ものすっごく緊張したもの。