残念系お嬢様の日常
景人は「それでも報告はすべきことだと思うけど」と続けた。
彼の言う通り、こういうことが二度と起きないように伯父や教師に伝えるべきなのかもしれない。
あの男は平然と別の場所で教師をして、また別の誰かで同じことをする可能性だってある。
公にはしないと言って一木先生に裏で繋がっている人物を吐かせたけれど、私は報告するつもりは最初からなかった。
広まってしまえば、必ず探り出す人が出る。
生徒たちに一木先生が盗撮で辞めさせられたことを伝えないようにしても、教師はスミレに事情を詳しく聞いてくるだろうし、スミレの家族には教師が報告を必ずしてしまうだろう。
そうなれば、スミレがまた息苦しい思いをして生活しなければならなくなる。
綺麗に事が終わったように思えるけれど、私は一木先生が自ら辞めるということで事件を揉み消したのだ。
「真実を隠すなんて良いことではないのはわかっているわ」