残念系お嬢様の日常
事件をなかったことにして、真実を隠した私を軽蔑する人もいるかもしれない。
それでも、私は少しでもスミレの日常が守れる方を選らんだ。
「別に間違ってるとは思わないがな。紅薔薇は真実を公にせずに友人を守ったというだけだ」
「それぞれ考え方なんて違うしね。僕らも口外はしないよ」
「いっ!?」
突然背中に走った衝撃に驚きにのけ反り、二人より数歩前へと進む。
それが景人と流音様に背中を叩かれたのだとわかり、理由がわからず振り返ると二人とも笑っていた。
「おつかれ、真莉亜」
「ご苦労様だったな、紅薔薇」
どうやら二人に真実を知られても軽蔑はされなかったようで、きょとんとしていると両側からほっぺをつねられる。
しかも片方、うさぎのパペットが私のほっぺ食べてるし。
「ちょ、なんですか、この状況!」
「すっげー顔」
「さすがだな」
何故か更に笑われて、なんだかちょっと肩の力が抜けてしまう。
けれど、気を緩めてはいられない。
スミレと一木先生の件は片付いたけれど、もう一つ私にはやるべきことが残っていた。