残念系お嬢様の日常
花ノ姫からの除名というのは、居場所を失うことと同じだ。
問題を起こして落ちぶれた生徒は憧れの対象から軽蔑へと変わる。
そして、二度と花ノ姫には戻れない。
滅多にそんな人はいないけれど、過去に虐めを率先して行った花ノ姫は除名されて、肩身の狭い思いをしながらひっそりと過ごしたのだとか。
プライドの高い人たちの多いこの学院で花ノ姫という地位を失うことは絶対に避けたいことだろう。
「……私を除名処分にさせるつもり?」
「あら、できないとでも? 一木先生から得た証拠もあるのよ。それに本当はこんなこと言いたくないのだけれど、私を誰だと思っているの? 理事長は私の伯父よ。それに花ノ姫としての立ち位置も貴方よりは上だと思うわ。先輩方からも貴方よりは信頼されているもの」
ここぞとばかりに使える技を使っていく。
内心チキンハートはブルブルだけど、ここは余裕のある悪い女を熱演。
ひいいい……雅様の睨みが怖すぎる。
理事長は私の伯父様。……伯母様には嫌われてるけど。
花ノ姫としては立場が上。……私の場合は家の力が大きいけれど。
先輩方からの信頼が厚い。……と思いたい。
さてと、最後に含笑いをトッピングして、雅様の髪を指先で掬い上げる。