残念系お嬢様の日常
「除名されたくなければ、これから私の言うことをしっかりと聞いてちょうだいね」
「……脅すつもりなの」
「いやだわ。これは〝お願い〟よ? 今後一切、他人を貶めるようなことをしないこと。これを破れば、私も容赦しないわ」
先ほどまでの強気な雅様は消えて、不満げに顔を歪めていく。
彼女がこんな表情を見せるなんて珍しい。
いっつも心の中を見せないような薄っぺらい笑顔ばかり浮かべていたけれど、感情が見えると少し接しやすくなる。
観念したのか、雅様は「わかったわよ」と吐き捨てて私の手を払った。
気にくわない人の排除か、自分の立場とプライドか天秤にかけて後者がとったということね。
「私は別に〝貴方のことを〟貶める気はなかったのよ」