残念系お嬢様の日常
試しに訊いてみると、雅様は肩を竦めてみせる。
「そう聞かれても私も知らないもの」
「知らない? 自分を裏で操っている人物を知らないで従っていたの?」
「従っているなんて思ったことないわ。ただ情報を与えてくるだけよ」
どうやら裏に人がいることは確かのようね。
でも、肝心な正体がわからないままだ。いったい誰が情報なんて雅様に与えていたの。
「正体を明かさない相手を信じるほど貴方は根が真っ直ぐな人だとは思えないけれど」
「まあ、そこは否定しませんわ。そうね、別にこれくらい話してもいいかしら」
雅様の話はこうだった。
中等部の頃に突然送られてきた手紙。
そこには今後起こる予言のような内容と、連絡先が書かれていたらしい。
一応目は通したもののくだらないと思い、連絡はしなかったそうだ。
けれど、そこに書かれていた内容が次々に起こり、興味をもった雅様は連絡を入れてみた。
そこから雅様は名前も顔も知らない相手から時折予言のような情報を受け取っていた。
最初はただの興味本位。次第に相手は対価を求めてきたらしい。
それが、情報を渡す代わりに相手のお願いを一つ聞くというもの。
一木先生と雅様が関わりを持ったのも、その人物の差し金らしい。