残念系お嬢様の日常
「……こんぺいとうだ」
「綺麗でしょ。甘いの食べて少しでも疲れとって」
ころんと丸っこいガラスの小瓶に入った淡い桃色と薄紫のこんぺいとう。
……なにこれ可愛い。
夏にもらった子猫のぬいぐるみと飴の入った袋を結んでいた金色の薔薇のチャームも可愛かったし。
このこんぺいとうの小瓶も中身なくなっても使えそう。
「雲類鷲さん」
「え、ちょ、なに!」
手が伸びてきたので驚いて身構えると、頭の上に手を乗せられた。
優しく撫でられて更に緩みそうになる心をぐっと堪える。こんなことしてもらったのいつぶりかしら。
「疲れたでしょ」
「……こんなことされたら力抜けるわ」
「力抜いていいんじゃない? 俺は敵じゃないよ」