残念系お嬢様の日常


「……雲類鷲さんは、その、もうパートナー決まった?」

「え、ええっと……」

天花寺から不意打ちで聞かれて、言葉に詰まる。決まっていませんけど。

誰からも誘われていませんけど!

一応花ノ姫であり、憧れられる存在であるはずなのに!



「まあ、雲類鷲さんは普段からあまり男子と話していないし、近寄りがたいからまだ誘ってくる勇者はいないかもね〜」

「怖いからの間違いじゃないのか?」

珍しく雨宮がいいフォローを入れてきたと思いきや、桐生が余計なことを言ってきた。

この野郎、あんただって怖いし、近寄りがたいから誘われてなんていないんだろう!

「そういう皆様は? お誘いは受けているのですか」

にっこりと微笑みを向けて聞いてみれば、雨宮と天花寺は予想通りかなりの数のお誘いが来ているらしい。


けれど、あまり嬉しそうではなさそうだ。一人ひとり断りを入れるのが大変なんだとか。贅沢な悩みだわ。




< 449 / 653 >

この作品をシェア

pagetop