残念系お嬢様の日常
「……雲類鷲さんは、その、もうパートナー決まった?」
「え、ええっと……」
天花寺から不意打ちで聞かれて、言葉に詰まる。決まっていませんけど。
誰からも誘われていませんけど!
一応花ノ姫であり、憧れられる存在であるはずなのに!
「まあ、雲類鷲さんは普段からあまり男子と話していないし、近寄りがたいからまだ誘ってくる勇者はいないかもね〜」
「怖いからの間違いじゃないのか?」
珍しく雨宮がいいフォローを入れてきたと思いきや、桐生が余計なことを言ってきた。
この野郎、あんただって怖いし、近寄りがたいから誘われてなんていないんだろう!
「そういう皆様は? お誘いは受けているのですか」
にっこりと微笑みを向けて聞いてみれば、雨宮と天花寺は予想通りかなりの数のお誘いが来ているらしい。
けれど、あまり嬉しそうではなさそうだ。一人ひとり断りを入れるのが大変なんだとか。贅沢な悩みだわ。