残念系お嬢様の日常
「つーか、お前は俺の手を噛んだことも謝れ」
「うがいしないといけないわね」
「こいつまじでムカつく。真栄城、きちんと躾けしろ」
「なっ! スミレは犬じゃないわ!」
うわあ……桐生の手には歯型が残っている。痛そう。
スミレ、よっぽど嫌だったのか相当強く噛んだのね。
「躾けか……スミレは無邪気な方が可愛いけど、さすがに噛むのはダメだし。うーん」
「瞳まで! スミレは犬じゃないわ!」
「よしよし」
「頭なでないで! もうっ!」
スミレと瞳が戯れているのを眺めながら、私たちは第二茶道室へと戻っていく。
少し後ろを歩いていると天花寺が「少しいい?」と声をかけてきた。