残念系お嬢様の日常
「どうかしましたか」
「譲を連れて医務室へ行ってあげて」
「へ?」
「さっき止めたとき、あの人の爪が刺さったみたいなんだ。本人は隠しているみたいだけど、少し血が出ているのが見えたから」
伯母様の爪結構長いし、ジェルネイルをしてキラキラしたストーンなどがついているから刺さったら痛そうだ。
本当雨宮ってわかりにくい。
今だってなんともなさそうに笑っていて、さりげなく手も隠している。
「俺が手当てしてもいいんだけど、きっと譲は雲類鷲さんのほうがいいだろうから」
「……そうでしょうか。きっと誰にもバレたくないのでは?」
「まあ、そうかも。譲は昔から自分が我慢すればいいって言っていたから、隠すのが癖になっているのかもね」