残念系お嬢様の日常


「雨宮様は読めない方ですね」

「俺は結構わかりやすい性格だなって思うけど、付き合いが長いからかな。譲のことも大事なんだ。だから、今回は邪魔しない」

「邪魔?」

「うん。だから、行ってあげて」

よくわからないまま会話は終わらせられて、天花寺は私から離れていった。

普段通り微笑みを浮かべながら話している雨宮のブレザーの裾を掴み、控えめに引っ張ってみる。


少し驚いた様子で振り返った雨宮が私と視線が合うと、柔らかな笑みを向けてきた。




「ん?」

ちょっとだけ違う笑み。


女子生徒と会話をしているときの作られた笑みとも、

第二茶道室のみんなと話しているときの見守っているような笑みとも、


意地悪なことを言う腹黒い笑みとも違う。




たぶんこれは、私たちが協力者だから見せる少し隙のある笑みだ。





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