残念系お嬢様の日常
「どうかした?」
この人って本当はどんな人なのだろう。
雨宮譲であり、前世の記憶を持つこの人は原作と同じように悩みを抱えているのだろうか。
「ちょっとついてきて」
「今? あとでの方が……」
「さあ、早く!」
きっとこっそり消えても天花寺がフォローしておいてくれるだろう。
少し強引に雨宮を連れ出し、別の棟にある医務室へと向かった。
さすがに医務室のある棟へ入ったところで目的地に気づいたようで、雨宮は困ったように苦笑した。
「気づいていたんだ」
「天花寺様が教えてくれました」
「……なんで悠も雲類鷲さんに教えるんだろうねー。雲類鷲さんと俺を二人きりにするの不安なくせにね」
「私のせいで怪我をしたのだから、手当ては私がして当然よ」