残念系お嬢様の日常
「……前世の貴方はどんな人だったの?」
「んー、全てにおいて平均って感じだった。できのいい兄よりも劣っていて親にはよくそのことを言われていた、かな。そういう部分は今の俺とも似ているかも」
雨宮が寂しげに微笑んだように見えた。
私も少し似ているかもしれない。
虚しいことに、特に秀でたものはなかったんだよね。
それに周りに置いて行かれないように必死に流行を追いかけていて、勉強そっちのけだったから、妹よりも学力が低くて親からはそのことに関してよく言われていた。
「だからかな。俺は案外今の自分の環境も受け入れられているよ」
「それは我慢ができるということであって、傷ついていないということではないわよね」
「……そりゃあ、貶されるのは嫌だよ。できれば家の人に会いたくはないし、嫌味をのらりくらりとかわして反感をかわないように常に気をつけてるから疲れる」
雨宮の表情に影が落ちような気がして、つかみどころのなかった彼の本音にやっと触れられた気がした。