残念系お嬢様の日常
「だけどさ、正直ちょっと嬉しかったんだ。自分以外に前世を持っている人と出会えたとき。雨宮譲以外の記憶があって妄想じゃないか、頭がおかしいんじゃないかって悩んだこともあったから」
「……脅すようなやり方をしたのに」
思い返すと結構強引なことをしてしまったよなぁ。
あんな状況で雨宮もよく協力するなんて言ったよね。
「うん、それはびっくりだったけどねー。でもこうして秘密を共有できる相手がいてよかったよ」
「私も貴方がいてくれて心強いわ」
前世を持っているなんておかしな話で、自分の妄想なんじゃないか、おかしいんじゃないかって悩む気持ちはわかる。
こうして自分を殺そうとしている人物と向かい合っていくのも私一人では精神的に参ってしまっていたかもしれない。
「……桜の花びらが地面に落ちる前に掴まえることができるといいことがあるって本当だったね」
「桜の花びら?」
「中等部の卒業式の日、君が言っていたでしょ」