残念系お嬢様の日常
そうだ。桜の木のところで雨宮と会ったときに話した。
前世で小学生の頃によくしていた遊びだ。
桜の花びらが地面に落ちる前に掴む、桜キャッチ。
それができるといいことがある。
そんな子どもの遊び。
「覚えていたのね」
あのとき、雨宮は寂しげに微笑んでいた。
家のことで悩んでいたのか、前世の記憶のことで悩んでいたのかわからないけれど。
「ねえ、私の前では自分を抑えたりしないでね」
私と雨宮の関係は協力者でしかない。
だけど、だからこそ話せることがあるのではないかと思う。