残念系お嬢様の日常
「お兄ちゃんもお茶飲むよね?」
「あ、ああ」
急須を持って戻って来た浅海さんが私の分とお兄さんの分のお茶を淹れてくれる。
ほうじ茶のいい香りが漂い、顔が綻ぶ。
「ほうじ茶って久しぶりに飲んだけれど、やっぱり美味しいわね」
「ですよね。私もほうじ茶好きなんですよ」
「あ、それなら今度は和菓子のお供にほうじ茶を淹れるのもいいわね!」
「いいですね。水谷川さんたちにも話してみましょうか」
放課後の第二茶道室での過ごし方はお菓子を食べたり、おしゃべりをしたり様々だけれど、やっぱりお茶の時間が一番楽しみだ。
盛り上がっている私たちの横でお兄さんは目をぱちぱちとさせながら硬直している。
「本当に仲いいんだな……」
驚いているようだったけれど、安心してるみたいにも見えた。
いじめられていないか心配していたのだろう。