残念系お嬢様の日常
お兄さんが帰ってきたことによって、私を狙っている人がいるという話は中断された。
私としてはあまり詳しいことは浅海さんには話せないし、また聞かれる前に片付けてしまいたいところだ。
しばらく浅海さんやお兄さんとおしゃべりとしたあと、日が暮れる前に帰ることにした。
駅まで迎えに来てほしいと連絡を入れておく。
浅海さんの家から出て、夕日に染まる道を歩いていると背後から呼び止められて振り返る。
「どうしましたか」
浅海さんのお兄さんはなにか言いたげに少し息を切らしていた。
「奏は……その、学校ではどう過ごしているか教えてくれないか」
「どう、とは?」
「いや……その、嫌がらせとかは受けていないか?」
よほど心配なのだろう。
浅海さんはあまり感情を表に出さないだろうし、この様子だとなにも話していなさそうだ。