残念系お嬢様の日常



流れてしまった噂を完全にうち消すにはまだ時間がかかるだろう。

だけど、姉さんを陥れようとしている人物がいるのなら犯人を捜しださなくてはいけない。



「とりあえず、浅海くんは教室に戻って」

「真栄城さんたちは戻らないの?」

「今日の放課後までに少しでも対策を練らなければいけない」

真栄城さんは一呼吸おいて、携帯電話の画面を見せてきた。

そこには<緊急花会のお知らせ>と記載されている。


「召集がかかった。おそらく議題は真莉亜の噂の件。今回の主催者は牡丹の君」

「牡丹の君って……まずいわね」

顎に手を添えて考え込む水谷川さんになにがまずいのかと聞いてみると、牡丹の君とは現三年生らしい。

そして、牡丹の君はかつてダリアの君と会長の座を争っていた人物。

姉さんはダリアの君に可愛がられていて、牡丹の君からは疎まれているそうだ。



「牡丹の君にとっては気に入らない真莉亜を貶める絶好のチャンスだわ」




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