残念系お嬢様の日常
俺はどうしたいのだろう。
姉さんを守るために、なにをするのが最善なのかわからない。姉さんならなにを望む?
「俺の意見を先に言わせてもらうとさ、犯人を突き止めて嫌がらせをやめさせた後は雲類鷲さんに任せるべきだと思うんだよね」
「でも、真莉亜に嫌がらせをしていた人でしょう! それを本人に任せるだなんて……」
真栄城さんは渋い顔をしているけれど、俺としては雨宮の意見に同意だった。
姉さんにどうしたいかをまず聞くべきだ。
かといっても、すべてを丸投げにするわけにもいかない。
「まあ、俺らなりにどうするべきかは考えておいたほうがいいと思うけど、雲類鷲さんの意見を尊重することは忘れずにいたほうがいいかなって」
「……お前、案外まともなんだな」
「たっくん、それ貶してる? 褒めてる?」
「たっくんって呼ぶんじゃねぇよ」
正直驚いた。
雨宮はもっと適当なやつだと思っていた。
へらへらと笑って、その場をやり過ごす。
面倒なことには首を突っ込まず、来るもの拒まず去るもの追わず。という印象だった。
けれど、目の前にいる雨宮はきちんと姉さんのことを考えてくれているように見える。
……本心なんてわからないけど。