残念系お嬢様の日常
榊原利沙様こと牡丹の君と目が合ってしまった。
綺麗に巻かれた肩口にかかるくらいの黒髪に少し濃いめの目元の化粧。
わざとらしく微笑まれたので、会釈だけしておく。
この人のことは昔から苦手だ。
今回私はこの人相手に戦わねばならない。
すべての席が埋まると、ダリアの君が優雅に紅茶を飲んでいる牡丹の君に声をかけた。
「どういうおつもりで、突然花会を開いたのかしら。牡丹の君」
「あら、ダリアの君が察していないわけないわよねぇ。学院内で噂されていることについてですわ」
早速本題だ。さぞかし牡丹の君にとってはこの件は美味しい美味しい餌なのだろう。
「それで、紅薔薇の君。噂されていることは真実なのかしら」