残念系お嬢様の日常


あまり表立って天花寺たちと親しくはしていないはずだ。

だから、親しいことを知っているのは一部の人だけ。



英美李様はポケットから取り出した携帯電話の画面を押し付けるように私に見せてくる。


「っこれが送られてきたのよ!」

「……なに、これ」

画面には医務室の前で天花寺が私の顔を覗き込んでいるところの画像だった。

確か私の具合が悪いことに天花寺が気づいて医務室まで送り届けてくれたことがあったから、そのときに撮られたのだろう。


……これはイチャついているように見えなくもない。



「こんな風にふたりで隠れて過ごしているのでしょう!」

否定しても彼女の場合、信じてはくれないだろうな。

私のことなんて信用していないだろうし、下手なこと言ったら火に油を注ぐようなことになってしまうかも。





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