残念系お嬢様の日常

***



カウンセリングルームに着くと、中にはスミレと瞳、流音様、景人、雨宮、桐生拓人がいた。

不安げな表情のスミレと目が合って、咄嗟に視線を逸らしてしまう。


「真莉亜! 大丈夫!?」

「スミレ……あの、私」

噂が流れて、お昼も別でと言われてしまったとき、周りの人たちは離れていってしまうんじゃないかって思った。

一人になる覚悟をしないと花会に行く勇気さえなかったんだ。



「みんなが離れていってしまうんじゃないかって不安だった。瞳達は花会で私のこと守ろうとしてくれていたのに。落ち着いて考えれば、そんなことないってわかるはずなのに怖くて……」

私はいつの間にみんなといることが当たり前になって、離れることが怖くなってしまったんだろう。

きっと自分で思っている以上にみんなと過ごす時間が好きなんだ。



目頭が熱くなって隠すように俯く。


こんな弱気な姿を見せてしまって情けない。





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